ありがたいことに、拙著を出してから意欲的な自治体職員の方たちと知り合う機会が増えました。彼らと知り合うたびに後ろめたくなる気持ちがひとつあります。それは、積極的に広報紙を読んでいないこと。なぜ読んでいないのか整理してみました。
自分が自治体の広報紙を読まない3つの理由
極端に書くと地元の自治体の広報紙をほぼ読んでいません。表紙の写真を見て、内容の見出しを読んで、自分と関係がなさそうであれば古紙置き場に直行してしまいます。
その理由は3つあります。
首長がSNSで発信している情報を受信しているから
いま住んでいる寝屋川市の市長・広瀬けいすけさんは、土日を含めて毎日投稿しているので情報がリアルタイムに手に入ります。
(保存版)
寝屋川市内で
かぜの症状のある方はー広報ねやがわ11月号の巻頭特集をご覧くださいね🍀
春の頃とは大きく変更し、保健所の判断がなくても、かかりつけ医など“医師の判断”でPCR検査等を受けられる仕組みを作っています💪
✔️保健所ではなく病院・診療所へまずは電話でご相談ください🙇 pic.twitter.com/xBgIBrL3Oe
— 広瀬けいすけ 寝屋川市長 (@hirosekeisuke_) November 8, 2020
特に命に関わるような情報が押さえられいるので、何を読んでおけばいいかがわかります。つまり大事な情報はすでに知っていて、広報紙は情報として古く感じます。
広瀬さんに限らず、福岡市長の高島宗一郎さんや、千葉市長の熊谷俊人さんなど、みなさん日常的に考えていること、実行していることをつぶやいておられるので住んでいないまちの情報も詳しくなってきました。Twitterのリストでこちらにまとめていますので気になる方はリストをフォローしてください。
広報紙は情報量が多すぎて、必要な情報を選択しづらいから
一方で広報紙は情報量が多く、ファミリー向けの情報、お年寄り向けの情報、地域でお店を営む事業者向けの情報など、盛りだくさんの情報が一度に網羅されすぎて自分に必要な情報を探すのがウェブに比べて面倒です。
三人称が多すぎるから
これは自分の職業病かもしれません。大半の内容は三人称のほうがいいと思いますが、ずっとそれが続くと親近感が沸かない気がします。
「逆にどんな自治体の情報を積極的に読んでいるか」というと、最初に書いた首長のツイートのような一人称で語られる情報です。ちょっと列挙してみます。
広島県のnote
例えば広島県のnoteでは実名ではなくあだ名で職員が登場されています。一人称で書かれている文章は最後まで読ませる力があります。

高槻市の「こちら部長室」
高槻市の「こちら部長室」のページでは実名での自己紹介からはじまり、最後にはプロフィールと趣味が掲載されていて、一気に身近になります。
ニュージーランド首相Jacinda Ardernさんのライブ配信
ニュージーランド首相のJacinda ArdernさんのFacebookページを登録していると、ほぼ毎日更新されているので、ニュージーランドで今どんな取り組みをしているかがわかります。
時々こんな感じでライブ配信し、今日の出来事を10分程度話しておられます。

ご自宅からパジャマ姿で登場されることもあります。
イギリス政府のblog
これはイギリス政府のウェブサイト内でデザイン部門の職員Louise Downeさんが書いた記事の見出しです。

上記リンクを翻訳したものをこちらに書きました。

記事頭のauthor部分に名前が入っており、クリックするとLouise Downeさんが書いた記事が全部読めるようになっています。
最新のblog記事は「オンラインショッピングのヒント:購入前に注意すべきポイント」という見出しで、偽のレビューもあるから気をつけて」といった内容がマーケティング部門(たぶん)のCecilia Parker Aranhaさんによって書かれています。

まとめ
整理しますと、
誰が書いたのかわかる文章は文章の上手下手は関係なく、グッと引き込まれる
情報量が多すぎるとしんどい、小分けなら読みやすい
これらの情報を元に編集された、ウェブと紙のメリットを意識したハイブリッドな広報紙なら読みたいと思います。
次回は「自治体が発行する広報紙のアウトカムは何か?」的なテーマで続きを書きたいと思いました。いつになるかわかりませんが。
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拙著「まちのファンをつくる 自治体ウェブ発信テキスト」(学芸出版社)のグループページをつくりました。本の続きが気になる方、よろしければご参加ください。