コロナ対策の最前線で、地方自治体はウェブで何をどう情報発信したか?

病院 情報発信
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今回のコロナ対策の最前線では、国の対策を待つだけではなく、いちはやく住民のために対策を出したまちがニュースで目立ちました。

自主的に共同で緊急事態宣言を出した北海道と札幌市、感染拡大を防ぐために協力金対策を打ち出した東京都、超スピードで独自の対策を打ち出した明石市など市区町村。出遅れる埼玉など、忘れぬうちに全国の自治体がウェブで何をどういう情報発信をしたのか書き留めておきます。

(1) うまく伝えたまち、しくじったまちの比較

まず、目立ったのは首長の動きです。

▼北海道
うまく伝えた例

まずは北海道知事、鈴木直道さん。
4/24、北海道の公式YouTubeで「SOS! 牛乳チャレンジ」と銘打って、知事が牛乳を飲む姿が公開されています。たぶん動画のクオリティを見ると、職員の方がスマホで撮影して少しテロップを入れて発信しています。完全にスピード重視です。普段から日常的に情報発信していないとこのスピード感は出せません。

SOS!牛乳チャレンジ

▼福岡市
うまく伝えた例

次に福岡市長の高島宗一郎さん。
同日、福岡市長は2週間経過した状況を動画で配信しています。九州朝日放送の元アナウンサーだけあってめちゃくちゃええ声でグラフを見せながら説明してくれてわかりやすいですが、ポイントは報道番組でニュースを読むときよりも語る速度をはやくして、最後まで見てもらう工夫をされています。YouTube視聴者にあわせたアウトプット。

福岡市長高島宗一郎 緊急事態宣言から2週間経過した福岡市の状況 新型コロナ

▼明石市
もったいないと感じた例

何かと話題の明石市長・泉房穂さん。
4月中旬の段階でひとり親家族に対する補償を打ち出して、メディアにも多く取り上げられました。パワハラで出直し選挙して市長になったことが帳消しになりそうな勢いです。しかし、なぜか明石市役所のSNSアカウントはこの対策に触れた投稿が見あたらなかったです。投稿されていたけど気づいてないだけなのでしょうか、謎です。

市長自身も不慣れなのか、市長の後援会アカウントは取り上げられたニュースをシェアするのみ。どちらかといえばサムネイルを意識して出したほうがニュースメディアに取り上げられるので、準備しておいて記者発表後に即出ししたほうが絶対いいです。それを実践しているのが最初に取り上げた北海道の例で、知事が牛乳を飲んでいる映像が当日の夕方以降のメディアに取り上げられていました。

これまで紹介した例は大きくとらえると成功したと感じます。

ここからはしくじった例です。

▼岡山県
しくじった例

岡山県の伊原木隆太知事は4/24の会見で、「来たことを後悔するようになればいい」と発言しています。

「来たことを後悔するようになればいい」岡山県、29日に県境検温岡山県の伊原木隆太知事は24日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、今月29日に山陽自動車道下り線の瀬戸パーキングエリwww.sankei.com

「来たことを後悔するようになればいい」岡山県、29日に県境検温
岡山県の伊原木隆太知事は24日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、今月29日に山陽自動車道下り線の瀬戸パーキングエリア(PA、岡山市東区)で、来県者らへの…

▼広島県
しくじった例

広島県の湯崎英彦知事は4/21の記者会見でコロナの感染防止対策として、国から県職員に給付される10万円の活用を検討していると発言し、話題となりました。同日、広島県の公式Twitterアカウントが【特別定額給付金(10万円給付)を装った詐欺にご注意ください】と注意喚起したところ、多くのリプライがあり、そのほとんどは「広島県知事を名乗る人では?」といった内容でした。

もっとほかにもあり、いろいろ見落としているかもしれません。以上は自治体が従来の支持系統でどう発信してきたかをまとめてみました。

(2) シビックテックの動き

もうひとつ、従来の支持系統とは違う、コロナによって変わっていった情報発信のひとつとして、シビックテックの動きが加速しました。

シビックテックとは市民がIT技術を使って課題を解決する方法ですが、その一例として3/4に東京都の「新型コロナ感染症対策サイト」が開設されました。

東京都 新型コロナウイルス感染症 対策サイト
2021/03/29 更新: 当サイトは新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に関する最新情報を提供するために、東京都が開設したものです。

新型コロナウイルスの検査実数や陽性者の推移が一目でわかるウェブサイトですが、誰もが参加できるオープンソースが使われています。

その後、各地で全国の「新型コロナ感染症対策サイト」が生まれ、三重県版は県内の高専生が開発しています。

台湾のIT担当大臣、オードリー・タン氏も東京都のサイトにちょこっと参加したことで話題となりました。

一般市民によって各地に「新型コロナ感染症対策サイト」が生まれる中、大阪市に誕生した「新型コロナ感染症対策サイト」は大阪市職員である大阪市ICT戦略室の中道忠和さんが構築したことで少し話題になりました。

サイトのソースコードがGitHub上にあるので、同じ仕組みのサイトをほかの市区町村もつくることができます。さっそく大阪市が公開したコードを使って生駒市がコロナ対策サイトをつくっています。

(3) 自治体の判断で、状況にあわせて情報を発信する

「この時期にもし狩野が自治体職員で広報担当だったら?」と考え、発信する内容を3つに整理しました。

1
医療関連の情報を発信する

感染者状況や病院の状況を発信します。例えば新潟県防災局の2020年5月5日午後1時32分の発信では報道発表のページに誘導しつつ、中身をかいつまんだ情報を発信しています。

こういった発信が2につながります。

2
住民やユーザーからの情報を集め、政策決定につなげる

何か投稿すると市民から関連する情報が寄せられます。その内容にあわせてQ&Aのようなかたちで答えていくというものです。最初の発表では抽象的な対策しか打ち出せないですが、状況が見えてくるにつれて明らかになった対策を伝えていくことで、解像度が高まり、その都度、更新していくという方法です。

例えば寝屋川市では梅田は大幅に人手が減っているのに市内のスーパーは人が多いという声に対して、まちの性質の違いについて言及しています。

このような血の通った返事を発信することで市民とつながりをつくっています。

3
自治体の判断で、状況にあわせて情報を発信する

給付金情報やデマを打ち消す情報など、住民が安心できる情報を発信していきます。例えば青森県むつ市の市長公式ツイッターでは全世帯の水道料金について基本料を2ヶ月無料とする内容と、全市民生活支援として1万円で1万2千万円分購入できるプレミアム商品を12億円分発行すると画像つきでツイートしています。

鳥取県防災・危機管理情報の防災トリピーでは、鳥取型「新しい生活様式」と銘打って、約2mのフィジカルディスタンスを発信していますが、2mの幅を伝えるために鳥取和牛やジャイアントパンダ、トリピーを活用していて絵柄を地味にしない工夫が施されています。トリピーは意外と大きいんですね。

千葉県習志野市では4/29の市長ニュースで市長がチェーンメールのデマを打ち消す動画配信をしています。

市長ニュース4/29(水)「デマ・詐欺」ほか(千葉県習志野市)

以上、コロナに対する発信で気になったところをまとめてみました。しつこいですが偏っています。ご了承ください。

海外のまちはどう伝えているか

偏りついでに、かなりはやい段階で動いていた海外のまち、コペンハーゲン、ソウル、台北などについても調べてみました。以下、長くなるのでnoteに書きます。

▼台北

台北市のFacebookページでは熊のキャラクターが「大事なのは手を洗うこと!」と言いながら踊っています。

Redirecting...

また、各地の保健所の自動販売機でマスクを販売していることを伝えています。ケータイアプリで購入するようです。お年寄りにはちょっと難しいかも。

Facebook

公式YouTubeでは5/1からまちのエリアごとにライブ配信しています。

▼ソウル特別市

ソウルでは公式TwitterやFacebookページ、YouTube、Instagramでほぼ毎日のように感染者状況が告げられています。比較的Facebookページが一番見られているようです。

Facebook

5/4時点でフリーランスの「放課後教師(家庭教師ってことかな?)」「代理運転手」「観光ガイド」などに対し、50万ウォンの給付が伝えられています。

ソウル梨泰院のクラブ訪問者は少なくとも1510人とニュース記事で読みましたが、ソウル市の公式Twitterでは「キングクラブ、トランク、クイーンに訪問した人は検査するように」とめっちゃ店名を名指しでツイートしています。時間は感染者が訪れたとされる時間帯でしょうか。

▼コペンハーゲン

デンマークの首都コペンハーゲンはアジアの自治体と比べてめっちゃ親しげに語りかけてくる印象があります。こちら5/4の公式Facebookページの投稿です。

Google翻訳を駆使してアンミカ先生風に意訳すると「いや〜、みんなめっちゃがんばってくれてますやん、辛抱強く耐えてくれて、おおきに〜。わたしらが感謝すんの忘れてたら遠慮なくゆってね。それか特別な感謝に値する人いますやろか? ぜひコメントでくださいね〜」と随分親しげです。「近所のコーヒー屋さんに感謝している」とかコメントしている住民がいて、なんだこの身近さは!

Tak!
En kæmpe tak til dig og alle andre københavnere. I klarer corona-situationen rigtig godt. Og tak for, at I fortsat holder afstand og har tålmodighed....

▼ベルリン

ベルリンの公式Twitterのアイコンは現市長ですね。3/18の時点でコロナ対策の特設サイトが設置され、「コロナは私たち全員への挑戦状です。信頼できる情報が大事」と短い一文で伝えたいことをバーンと伝えているところが印象的です。市民のコメントにリプライしつつ、(たぶんですが)政策決定につなげています。

この情報はFacebookページでも固定投稿されています。

Facebook

また、ベルリンの公式サイトのこちらのページがチャットbotになっています。熊のBobbiがコロナ対策についてなんでも答えてくれるとのこと。

Chatbot - Berlin.de

▼ラスベガス
観光都市ラスベガスの公式Twitterは悲痛な叫びを発信しているだろうと思ったら、スターウォーズのキャラクターたちがオフィスを訪れててなんか楽しそうです。

▼ウェリントン

ニュージーランドの首都ウェリントンの公式Facebookページで興味深かった投稿は、「ロックダウンランチしよう」というイベントトピック。地元のアートセンターの仲間とzoomでつないでおしゃべりしませんか、という内容です。例えば一人暮らしなどでさみしく過ごしている人も気持ちがやすらぐかもしれません。

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▼レイキャヴィーク

アイスランドの首都レイキャヴィークの公式サイトではコロナ対策のレクレーションとして、音楽の先生が家で家族といっしょに歌える曲を動画(vimeo)で紹介しています。

https://reykjavik.is/en/news/singalongs-during-quarantine-and-social-distancing

▼オスロ

ノルウェーの首都オスロでは3/24にFacebookページに投稿されたカバーイラストがかわいいです。

「オスラブ! 距離を保ち、家にいてください。でも気をつけて。遠くにいる。(?)」

Facebook

最後の翻訳の仕方がわからなかったです。

まとめ

「コロナ対策の最前線で、地方自治体はウェブで何をどう情報発信したか?」の結論はどれだけ住民によりそう投稿ができるかが、まちのファンを増やす鍵なんだということ。

まったくソーシャルメディアを活用していない自治体は何を見て安心を得ればいいのか、ということをコロナ期間中ずっと考えています。みなさんはどう思いますか?

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