民間による空き家、空き地、空きビルの活用事例はわかりやすく、事例をあげればキリがないです。
このblogでは自治体主導の空き家対策の例をまとめていきます。以下、狩野が雑に調べたものであり、正確性よりも広い範囲で全体像をみることを重要視しています。ご了承ください。
自治体主導の空き家対策
秋田県五城目町|古民家活用
これだけレパートリーがあると選びやすいですね。
千葉県流山市|住み替え支援制度
石川県金沢市|みんなで取り組む空き家対策
地域で考えるきっかけづくりに力を入れているようですね。
東京都奥多摩町|0円空き家バンク
なぜ0円にできるのでしょうか。
この記事では実際に2階建ての一軒家を無料で譲り受けたご夫婦の事例が紹介されています。
政府は2015年、空き家の所有者に空き家の解体・改修を促すため、空き家を放置している所有者を罰する法律を制定した。しかし、不動産の専門家によると、空き家を所有するよりも更地にした方が固定資産税額が高くなるという。これが空き家の解体が進まない原因になっている。
なるほど。
東京都足立区|2つの空き家対策
東京都世田谷区|空き家対策
京都市|京都市レジリエンス戦略
富小路まちやキャンパスは、明治時代に建てられた、築年数100年以上の京町家なのだとか。
京都市(というかHAPS)|アーティストに空き家をマッチング
京都府|移住促進サイトに空き家情報
農林水産部村振興課。
奈良県生駒市|全国初のいこま空き家流通促進プラットホーム
普通なら不動産に相談するところ、 それでは解決できない空き家がたくさんあるので、生駒市が所有者と接触して個人情報まで含めて 同意をとって民間の団体に空き家情報を渡す。その仕組みが珍しい。
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2019年10月4日放送分がわかりやすいです。
長崎県長崎市|空き家を寄付する制度
土地建物を長崎市役所に寄贈し、解体後の土地を地元で管理することを条件に、公費で空き家を撤去するもの。解体するのにも莫大なお金がかかるから、ということでしょうか。
こちらのblog「○公費で空き家を撤去する(長崎市) – 松下啓一 自治・政策・まちづくり」によりますと、2006年度から行っており、山形市、滑川市なども同じ方式なのだとか。
自治体主導の空き家対策(海外編)
11月に参加した学芸出版社のイベント「分断から包摂へ。ドイツとアメリカ、都市のクリエイティビティ」で海外の都市の状況について聞きました。
ぜんぜん咀嚼できていないですが、以下メモがてらにまとめておきます。
ドイツ・ライプツィヒ|ライプツィヒの自由 空き家を安価に活動団体に貸す制度
ドイツ・ライプツィヒ市の都市再生・住宅整備局のページ。
背景をめちゃくちゃデフォルメして解説しますと、
ベルリンの壁が崩壊した1989年から旧東ドイツのまちだったライプツィヒ市は、貧しく、「俺ら東京さ行ぐだ」という感じでみんなベルリンやミュンヘンに出稼ぎに行ったので急激に人口が減り、空き家が増えました。最初、ライプツィヒ市は空き物件を壊して整備したけれど、その結果、見た目が味気ないまちになり、住民から取り壊し反対運動が起きます。
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反対運動のメンバーがNPOハウスハルテンをつくり、空き家を放置すると建物が傷んでしまうので、空き家や空き地を市民活動がしたい人たちに利用してもらうプログラムをつくりました。
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その結果、魅力的なまちになり、若い人が増えて、人口が増えました。
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現在、シリア難民たちの影響もあって、逆に人口が増えすぎてしまい、土地の値段が高騰してしまっているようです。
詳細はこちらの本でどうぞ。
オランダ・アムステルダム|芽が出そうなアーティストに空き家を貸す制度
こちらは行政主導なのか強制なのかよくわからないけれどメモ。育成助成。市が1年以上ほったらかしになっている空き家のオーナーにアーティストに貸しなさいという制度。それも有名なアーティストでも無名のアーティストでもなく、芽が出そうなアーティストをコミッションが選ぶというもの。↓これのことでしょうか。
アメリカ・ロサンゼルス|モーテルを用途変更してホームレスのための住宅を用意する制度
イタリア・サンブーカ・ディ・シチーリア|1ユーロ住宅
1ユーロ住宅。カプチーノより安い。
イギリス・リバプール|1ポンド住宅
ロンドンのベッドタウンで空き家が急増。いちおう5年間は売却しちゃダメというルールがあるっぽいです。
まとめ
・空き家がいたまないようにように貸したい
・隣接する住民が困らないようにしたい
・持ち主がお金をかけたくない
・人口を増やしたい
などの思いが錯綜するので空き家対策はルービックキューブの全面をそろえる並に難しいですね。ただ、まちのファンをつくる、という視点で考えるとライプツィヒから学ぶことが多い気がしました。